新潟県のコシヒカリが美味しい理由

新潟県は全国有数の米どころだと言われている。米の作付け面積・産出額・生産量が、全国で見てもトップレベルの地域なのだ。コシヒカリ・こしいぶきだけでなく、しんのすけ・みずほの輝きなど新たな品種も開発されている。新潟県の米の評価が高いのには多くの理由が考えられるが、自然環境の豊かさもその一つである。美味しいお米を産み出す為の3つの条件、土壌、水質、温度を新潟県は揃えているのだ。県内には信濃川・阿倍野川が流れている。そこから流れる水が、栄養が豊富で化学肥料を必要としない粘土質の土壌を産み出すのだ。山がちな風土も、美味しさに大きく貢献している。大量の雪解け水は落ち葉や腐葉土と混じり合い、その養分を含んだ水は、稲の生育に欠かせないものとなっている。新潟県は朝と夜の温度差が高いのだが、気温の高低差も米の発育に有利なものなのである。

新潟県の特産品としてコシヒカリはとても有名だが、最初から高い評価を得て来たわけではなかった。昭和19年に高橋浩之氏等がいもち病に強い農林22号と、いもち病には弱いが高品質の農林1号を人工交配させることで新たな品種の開発を進めていった。昭和28年福井試験場から里帰りした越南17号は、コシヒカリと改められた。だがコシヒカリは質よりも量が重視される時代に、倒れやすいという決定的な弱点を持っていたので中々普及しなかった。それでもコシヒカリの可能性を信じ、少しでも育てやすいように工夫が重ねられてきた。その結果品質の高さと美味しさが評価され、世界的に愛されるブランドに育ったのである。